墓穴

1: News茶畑がお送りします 2020/09/06(日) 06:27:00.59
「来年秋に頂上決戦」シナリオ崩れ

 自民党総裁選への挑戦が4度目となる石破茂元幹事長だが、かつてない孤立無援の戦いを余儀なくされている。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いと「寝業」のできない性格が災いし、国会議員の確実な支持は、自身が率いる石破派(19人)のほか数人のみ。頼みとする世論人気も、地方出身、たたき上げをアピールする菅義偉官房長官の陰にかすみつつある。陣営は、「本番」と位置付ける来秋の総裁選につなぐ集票を、と必死だ。

 5日午前、石破氏はTNCテレビ西日本(福岡市)の報道番組に生出演し、午後には東京にとんぼ返りした。寸暇を惜しんで九州入りしたのは、各地方県連が行う予備選での集票に照準を定めているからだ。

 「勝ち馬に乗りたい心理はある」と菅氏優勢の現状を分析。その上で、菅氏が「継承する」とした第2次安倍政権の姿勢を「泣いている人の気持ちを十分にくんできたか」と批判した。この日も、石破節に陰りはなかった。


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 総裁選で涙をのむたびに、もろい党内基盤の強化が課題と言われてきた石破氏。安倍晋三首相の突然の辞任表明前は、来秋の総裁選で岸田文雄政調会長との頂上決戦を制するシナリオを描き、岸田氏と距離がある二階俊博幹事長、菅氏の信用を徐々に得ていく作戦だった。6月に二階氏に石破派パーティーの講師を依頼して秋波を送り、8月には二階、菅両氏と近い森山裕国対委員長と会食するなど布石は打っていた。

 そこへ、想定外の総裁選が降って湧いた。

 石破氏は派閥メンバーと出馬の是非を断続的に協議した。「党員投票はしないもようだ」「二階氏が菅氏擁立で動いている」…。自身にマイナスの情報が次々ともたらされ、一部幹部からは「惨敗したら二度と立候補できなくなる」と不戦論を進言された。かたや、主戦派は2015年の総裁選で立候補を見送り、好感度に陰りが出たことへの反省から「出馬をやめたら『逃げた』と言われる」とけしかけた。

 前回総裁選で支援を得た参院竹下派の支持を取り付けられないか探る側近もいたが、時既に遅し。竹下派を含む主要派閥は菅氏支援に走りだしていた。開けぬ展望に、石破派内の結束はぐらついた。

 8月31日。石破氏は出馬の決意を固める。連判状が派内に回った。背水の覚悟を示すため血判状を作ろう、との声も上がった。「今後、党内でどんな冷や飯を食わされようが、もう戦うしかない」。派の閣僚経験者はつぶやいた。

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 首相は周囲に「石破嫌い」を公言。後継を決めるこの総裁選でも、石破氏を勝たせない環境整備を最優先しているのは明らかだ。かつて首相在任中、石破氏から退陣を迫られたとされる麻生太郎氏も同じ姿勢。最大派閥・細田派の一人は「『石破だけは許さない』との声は多い」と証言する。なぜ、そうなのか-。

 主な理由として指摘されるのが、閣僚や党幹部であっても遠慮なく批判する政治姿勢。第2次安倍政権では、森友、加計(かけ)学園や桜を見る会の問題などが報じられるたびに「説明すべきだ」と注文。党内から「また、後ろから鉄砲を撃っている」と白眼視された。

 政界遊泳術も巧みでない。石破氏のために走り回った参院竹下派のベテランは前回総裁選後、一言も言葉を交わしていないと苦い表情。「次も出たいなら、会いに来るのが筋だろうに」

 地方県連の予備選で首位を奪い、党内にあらためて「選挙の顔」となり得る存在感を誇示し、来年に勝負を懸けたい石破氏。テレビなどで露出を続けるが、「いばらの道」(派閥幹部)には変わりない。

(湯之前八州)

西日本新聞 2020/9/6 6:00
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/642220/

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